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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第1章 名前は白馬。見た目は王子。
────さて突然だが。
先ほど少し触れた
「私と白馬くんの秘密」について話していこう。
メールの雰囲気からなんとなく察している方も多いと思うが、実はこの男。
「ホンット、どうして女っていう生き物はこうも見た目に群がってくんだよ面倒くせぇ!!」
非常に裏表が激しいのである。
以前白馬くんが素で電話しているのを目撃して以来、
口止めされるわけでもなく
なぜか思い切り素を出して開き直ってきた。
その成れの果てがコレだ。なんかめっちゃ懐かれてしまった。
ここは会社から少し離れた馴染みの居酒屋。
彼が「今夜空いてるか」と聞くときは、
大体ここで愚痴を発散したい時だ。
ほら、今もビールジョッキをテーブルに叩きつけて突っ伏してる。
「もう嫌だ王子すんのマジで辛い…。」
「嫌ならやめればイイのに。」
だってそうでしょ?
素を出してしまえば皆一発で寄り付かなくなるよ。
それなのに、白馬くんにとってそれはあり得ないようで。
「無理っすよ勝手にスイッチ入んだもん!それにスーパー完璧男の俺がそんな姿見せてみ?もれなく世界中の女性が軽蔑してきますよ。俺生きていけない…。」
…真顔で当たり前のように言うから恐ろしい。
私も仕事のとき、勝手に真面目スイッチが入るからなんとなくわかるけど、
…うん、王子スイッチは大変そう。
相当お疲れなのか、白馬くんは「うーっ」とテーブルに頬をつけてうなだれてる。
「つか化粧品臭くてマジで辛ぇ…。なんなんスかね、あれ。コロンとかつけすぎて、いい香りを通り越して悪臭ですよ悪臭。」
「白馬くんてデパートの一階苦手なタイプでしょ。」
「息止めて5秒で駆け抜けます。」
キリッとしたキメ顔で言ってくる。いやいいよ、今そんなキメ顔する場面じゃないじゃん。
…でも、こんなに本性見せたがらない人が私には見せてくれるという謎。
この話の流れだ、せっかくだし本人に聞いてみよう。