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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第3章 本物のヒーロー
────自宅からスーツやパジャマを持って。
昨日に引き続き、今日も白馬くんの家にお泊まりさせてもらうことになった。
何故かあれから涙が止まらず、「顔凄いんでwとりあえず入りましょww」とお風呂に入るよう促された。
「湯船あったかい…。」
雨に濡れて冷えきった身体に、温かいお湯が沁みる。
体育座りでボーッと壁を眺めていると、
今日あった様々な出来事が頭の中に浮かんでは消えた。
「『俺の物って印』、かぁ…。」
平田くんが私に放った言葉。腕を前に伸ばせば、否が応でも視界に入る沢山の傷。
なんて醜いんだろう。
「一ヶ月もすれば、これ全部治るかな。」
お腹、胸、太もも、二の腕。
それぞれにつけられた傷を手でなぞっていく内、平田くんに指摘された、ある大事なことを思い出した。
「…ハッ!っそういえば、夢で痛かった首のところ!」
水音を立てながら勢いよく立ち上がり、すぐに鏡の前で確認する。
痕が付いてるわけないんだ。
きっと平田くんの見間違い。
だってあれは夢だもん。
夢…だもん……。
「…赤くなってる。」
どういうことォォォォ?!
いやいや落ち着け。
まだ虫刺されの可能性が無きにしもあらず…って違ったわ〜。
全っ然膨れてないもん。がっつりキスマークだ。
ということは。
壁に手を付け、大きく息を吐きながらそのままズルリとしゃがみ込む。
「待って待って、もしアレが夢じゃなかったら私かなりとんでもないことしてるよね?だって、あんなことやこんなこと…っ。」
白馬くんの前で思いっ切り喘いで、恥ずかしい所をガン見されて。しまいにはイカされっ…
「ふぉぉぉあああああ何思い出してんの私ィィィィィ!!」
頭の上で両手を振り記憶をかき消す。
顔が沸騰しそう。頬が熱い。目眩がする。
────落ち着け落ち着け、まずは白馬くんに首のこと問い詰めてみよう、うん、まずはそこからだ!悩むのはその後!
「よし。」と、思考を振り切って立ち上がる。
私は力強く前を向き、お風呂場をあとにした。