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会社のドSな後輩王子に懐かれてます。
第5章 サプライズ
さて。
フリと電話してからすでに四分が経過しました。
チョコも私の手の体温で若干溶けかかっております。
「ねぇ白馬くん、フリ本当に来るの?あと一分で五分だけど。」
だって現実的に考えたらまずあり得ないし。
心配になり尋ねると、
白馬くんが「大丈夫」と言いながら、
スッと左の方を指差した。
なんだろう。
そう思い、指差された方向へ顔を向けると。
────ドドドドドドドドドド
「えっ、嘘?!」
一人の外国人が全力でコチラに走ってきていた。
どういうことなの。本当に来たよ。
フリは目にも止まらぬ速さで私達の前を駆け抜け、
突如急ブレーキをかけて立ち止まる。
チョコを口で咥えてかっさらったのか、
私の手元にはチョコの空袋だけ残っていた。
一体何が起こったんだ。
「Chocolate美味しいデース!」
「よーし偉いぞ、新記録更新だ。」
当の本人は口モグモグさせながら喜んでるし、
白馬くんはフリの頭撫でながらなんか褒めてるし。
これあれだね。
二人は友達って認識だったけど、
どちらかといえばブリーダーと優秀な犬だわ。
訳がわからず呆然と彼らを眺めていると、
フリがくるっとこちらに振り向いた。
「じゃっ、用事済みましたし帰りまショウ!」
「帰るっつっても俺ん家だろ。」
…うん。もう私は何もツッコまないよ。
きっと二人にとってはそれが当たり前なんだもんね。
私は顔を仏にしながら、
彼らと一緒にその場を後にした。