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堕ちる人妻
第1章 堕ちる人妻
 時が経つほど、アナタは私の傍から離れていきました。


 たまに気が向けば抱いてくれましたが、私の扱いはまるで道具。体を密接させているのに、何一つ潤わなかったことはアナタも気づいているでしょう? 


 でも、アナタのモノを私の中に入れてくれるだけでもマシです。酷いときはフェラチオだけで済ませることもありましたから……。


 日々の家事、子供と過ごす時間、そして……アナタという冷たい石像。いくら手を伸ばしても触れてくださらない。こちら求めても、アナタから与えられるのは虚無感ばかり。


私は日を追うごとに恐くなりました。虚しさに喰われて、女の表情が霞んでいく自分の姿に。


 ……彼と知り合ったのは一週間前です。今となってはよく聞く話ですが、切っ掛けは出会い系サイトでした。


 夫が居て子が居るという責任ある家庭に在りながら、女でありたいという身勝手な願望ゆえの浮気。身勝手だからこそ、これまで築き上げてきたものを全て捨てる覚悟があります。クズと仰るのならそれでも構いません。


 だけど、アナタも私を責めることはできないでしょう。アナタがお店で息抜きをしていらっしゃることぐらいは気づいているんですよ? 女を捨てていないがために、鼻は利きますから。


 私は今、彼と会話をしながら歩いています。


 彼の口から吐き出される息づかいを感じて、内心笑っています。彼はその溢れる欲情を隠しているつもりでしょうけど、下心が見え見えで、視線がとても卑しいのです。出会い系サイトの紹介文に『子持ちの人妻……』という見出しを載せたら、一番に食いついてきたのが彼でした。

 
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