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第1章 　罠

　「ラッキーだなぁ」

　祥太郎がラッキーだと思ったのは、行き先が同じだったこと以上に、声を掛けてくれた女性がとんでもない美人だったからであった。
　身のこなしも、服装も、メイクやヘヤースタイルも都会のセンスに溢れていていた。

　「ぼく、大谷祥太郎です」
　「私は、沢田梨花。よろしくね、祥太郎君」
　「こちらこそ」

　たちまち祥太郎は秋葉原などどうでもよくなっていた。
　まさか、こんな幸運が待っていようとは、想像もしていなかったのだ。
　梨花との夢のような時間は瞬く間に過ぎていった。

　「そろそろ、夕食の時間ね。今日はどこにお泊りなの？」

　祥太郎は寂しげな、チョッと不安な顔になった。

　「これから、捜します」　
　「あら、まだ決めてないの。それは困ったわね、祥太郎君。今頃捜してもホテルは見つからないわよ」
　「エッ、そうなんですか･･･」