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海猫たちの小夜曲
第4章 冷たい海 ~海色のグラスと小麦色の少女③~

結局、叔母はあたしのお金を使い込んだことを認めて、見苦しく泣きわめいた。
となりの奥さんに勧められて、投資を始めてみたものの、成果は芳しくないらしかった。最初に少しばかり儲けが出たのに気をよくして、欲をかいて投機的な取引に出たあげく、ひどい損失を出してしまったらしい。
だけど、となりの奥さんへの対抗心もあって、止めるわけにもいかず、後戻りできなくなって、仕方なくあたしのお金に手を出してしまった、ということだった。
弁護士さんは、そこで叔母さんへの追及を止めると、次の話に移った。
「望海さんの資産の不足分についての事実確認が済みましたので、示談にするうえでの、こちらの要求をお伝えさせていただきます。」
弁護士さんの声に、俯いていた叔父と叔母が顔をあげた。
「まず、望海さんはこの家を出て一人で暮らすことを希望しています。それを認めること、そして、あなた方からは今後一切、望海さんに接触しないこと。これが第一の要求です。」
叔父が小さな声でわかった、と弁護士に言った。
「さらに、奥様が使い込んだお金の弁済と、望海さんへの性的虐待について慰謝料を求めます。慰謝料と弁済金を合わせて、1300万円の即時お支払いを要求いたします。これが要求の2つ目です。」
「そんな無茶な! 今すぐ1300万なんて!……親戚や、知り合い全員に頼み込んだって、払えるわけがない……」
叔父が、がっくりと肩を落とした。
「そうですか? 選択肢はいろいろお持ちなのではありませんか? 例えば、ご自宅やお車を売却なさるとか……」
弁護士さんは冷静に言ったが、叔母は半狂乱になってわめきたてた。
「あなたはまだ5年しか住んでないこの家を売れって言うの? あなたは鬼なの?」
「家族という仮面をかぶって身寄りのない望海さんの蓄えを使い込むような人に、鬼などと呼ばれたくはありませんね。もう少し、自分たちのしたことを顧みてからものを言った方がよいのではありませんか?」
弁護士さんはそう言って、あっさりと叔母さんを黙らせてしまった。
となりの奥さんに勧められて、投資を始めてみたものの、成果は芳しくないらしかった。最初に少しばかり儲けが出たのに気をよくして、欲をかいて投機的な取引に出たあげく、ひどい損失を出してしまったらしい。
だけど、となりの奥さんへの対抗心もあって、止めるわけにもいかず、後戻りできなくなって、仕方なくあたしのお金に手を出してしまった、ということだった。
弁護士さんは、そこで叔母さんへの追及を止めると、次の話に移った。
「望海さんの資産の不足分についての事実確認が済みましたので、示談にするうえでの、こちらの要求をお伝えさせていただきます。」
弁護士さんの声に、俯いていた叔父と叔母が顔をあげた。
「まず、望海さんはこの家を出て一人で暮らすことを希望しています。それを認めること、そして、あなた方からは今後一切、望海さんに接触しないこと。これが第一の要求です。」
叔父が小さな声でわかった、と弁護士に言った。
「さらに、奥様が使い込んだお金の弁済と、望海さんへの性的虐待について慰謝料を求めます。慰謝料と弁済金を合わせて、1300万円の即時お支払いを要求いたします。これが要求の2つ目です。」
「そんな無茶な! 今すぐ1300万なんて!……親戚や、知り合い全員に頼み込んだって、払えるわけがない……」
叔父が、がっくりと肩を落とした。
「そうですか? 選択肢はいろいろお持ちなのではありませんか? 例えば、ご自宅やお車を売却なさるとか……」
弁護士さんは冷静に言ったが、叔母は半狂乱になってわめきたてた。
「あなたはまだ5年しか住んでないこの家を売れって言うの? あなたは鬼なの?」
「家族という仮面をかぶって身寄りのない望海さんの蓄えを使い込むような人に、鬼などと呼ばれたくはありませんね。もう少し、自分たちのしたことを顧みてからものを言った方がよいのではありませんか?」
弁護士さんはそう言って、あっさりと叔母さんを黙らせてしまった。

