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海猫たちの小夜曲
第4章 冷たい海 ~海色のグラスと小麦色の少女③~
「……そうですか。お認めいただけないというなら、以後は、裁判ということになりますが、それでよろしいですか?」
「ふん、できるもんなら、やってごらんなさい。仮にわたしのせいだったとしても、家族内の金銭のいざこざなんか、事件になるわけがないでしょう。」
 弁護士さんは裁判をちらつかせたが、叔母は勝ち誇ったように笑って取り合わない。

「窃盗の刑事案件ではなく、民事で争うことになりますが、まあ、いいでしょう。それと、わたしはこの件と合わせて、あなたの旦那さんと息子さんの性的虐待の件も弁護士として受任する用意があります。別に、お知らせする必要もないのですが、ご参考までに。」

 弁護士さんの言葉で叔母の顔色が変わった。
「ちょ、ちょっと望海! あ、あんた、まさか、うちの人や、秀隆を訴えようっていうの? こっ、この恩知らず!」

 いきなり恩知らず呼ばわりされて、あたしは当惑した。いまさらだけど、あたしはこの人たちに何か恩をうけたのだろうか。最低限の生活はさせてもらったかもしれないけれど、それと引き換えに、両親と祖母が残してくれたお金を勝手に使い込まれたうえ、脅され、殴られ、犯されただけではないのか?

 だけど、あたしよりも早く弁護士さんは叔母さんにぴしゃりと言った。
「わたしの依頼人に対して、そのような侮蔑的な言動は許しません。これ以上、望海さんのことを貶めるなら、即刻、このお話を打ち切らせてもらいます。そうなった場合、わたしは性的虐待の件を警察や児童相談所に持ち込むことを躊躇しません。そのうえで彼女の法定代理人として、改めて、あなた方を告訴させていただきます。」

「止めてくれ! そんなことになったら、わたしも秀隆もおしまいだ! 裁判なんかになったら、わたしは仕事を首になるし、秀隆は退学になるんだぞ! お前はそのことが分かってるのか!」
 叔父がふてぶてしく居直る叔母を怒鳴りつけた。
 叔母はようやく観念したように首を垂れると、顔を覆ってすすり泣き始めた。

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