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海猫たちの小夜曲
第6章 はじめての夜 ~潮風と白い素足の少女①~
 もう、どんな形でもいい。
 わたしは一人の女として、先生に愛情を注いでもらいたかった。
 たとえ、先生じゃない人に抱かれても、それで、先生は嫉妬してくれるのだ。
 少なくとも、そこに愛情があるから嫉妬するわけで、愛情がなければ嫉妬なんてしない。考えようによっては、愛情も何もなく、体だけ弄ばれる関係より、はるかに上等だ。
 わたしは、先生に抱いてもらえるなら、体だけという関係でも受け入れるつもりだったのだから。
 
 長い長い逡巡の末に、そういう考えに至ると、わたしの迷いは消えた。
 誰かに抱かれることで、先生の愛情が得られるなら、それでもいい。


 そして、6月の最初の土曜日、わたしは一年越しに、ふたたび勝負に出ることした。
 その日は朝から海が荒れていて、定例のサンゴの調査が出来ない日だった。
 わたしは先生にお願いして、車で1時間ほどのところにあるショッピングモールに連れてきてもらっていた。

 この間から、わたしは先生と望海に、シュノーケリングに誘われていて、新しくそれ用の水着を買うから、と先生に同行をお願いしたのだった。
 望海にはシュノーケリングの水着なんて水泳部で使っている競泳用の水着でOKだよ、と言われていたが、わたしには密かに別の目的があるのだ。

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