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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
あたしは部活に向かう人たちの目から遠ざかるようにして、校門へ向かう。
そろそろ日が傾いてきて、西日が差してくる時間だった。
高台にあるこの高校からは、この小さな町の全景と、赤く染まりかけた海が見える。
あたしは、太陽が海に溶けていくようなこの夕暮れの光景が好きだった。
あの血を溶かしたような紅い海の色も、翌日には消えてしまって、まるで何もなかったかのような碧い色に戻る。
それはまるで、あの紅い色が夜の闇によって浄化されるかのようで。
そして、あたしは紅い夕暮れの海を見るたびに、自分の抱えている嫌なことが一緒に海に溶けていってくれるようにお願いするのだった。
あたしは今日もまた、昨日の嫌な出来事が、あの血の色のような海に溶けて、あたしの心の中からすっかりなくなってしまうことを願った。
もちろん、そんなことはただの幻想でしかないことは承知のうえで。
同時に、あたしはこの紅い海を見るたびに、あたし自身がこの小さな町の一部なのだ、と自覚せざるを得なくなる。
あたしはこの小さな町で生まれて、育った。
あたしの過去も現在も、全てはこの小さな町の中にある。
そして、あたしのバイト先のダイビングショップと、併設のカフェは、この八潮津という閉ざされた小さな世界しか知らないあたしにとって、外の世界を垣間見させてくれる数少ない場所だった。
そろそろ日が傾いてきて、西日が差してくる時間だった。
高台にあるこの高校からは、この小さな町の全景と、赤く染まりかけた海が見える。
あたしは、太陽が海に溶けていくようなこの夕暮れの光景が好きだった。
あの血を溶かしたような紅い海の色も、翌日には消えてしまって、まるで何もなかったかのような碧い色に戻る。
それはまるで、あの紅い色が夜の闇によって浄化されるかのようで。
そして、あたしは紅い夕暮れの海を見るたびに、自分の抱えている嫌なことが一緒に海に溶けていってくれるようにお願いするのだった。
あたしは今日もまた、昨日の嫌な出来事が、あの血の色のような海に溶けて、あたしの心の中からすっかりなくなってしまうことを願った。
もちろん、そんなことはただの幻想でしかないことは承知のうえで。
同時に、あたしはこの紅い海を見るたびに、あたし自身がこの小さな町の一部なのだ、と自覚せざるを得なくなる。
あたしはこの小さな町で生まれて、育った。
あたしの過去も現在も、全てはこの小さな町の中にある。
そして、あたしのバイト先のダイビングショップと、併設のカフェは、この八潮津という閉ざされた小さな世界しか知らないあたしにとって、外の世界を垣間見させてくれる数少ない場所だった。