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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
バイトが終わると、あたしは立ち仕事で疲れた足で、自分の家へと歩いてもどる。
もう家の夕食は終わっているし、ご飯は、バイト先の賄いで済ませることを叔母さんには電話で伝えてある。
あとはもう、今日が何事もなく終わることを祈るだけだ。
ただいま、と小さな声で挨拶して、あたしは2階の自分の部屋に上がる。
床に着替えの入ったバッグをおくと、あたしはバイトで疲れた体をベッドに沈ませた。
だけど、布団にはかすかに私のものとは違う汗の匂いが残っていて、あたしはまた、昨日のことを思い出してしまった。
やはり、あたしはこの家を出て、外で暮らしたほうがいいのではないか。
祖母が亡くなったとき、そもそも、あたしは一人で生きていくつもりだったのだ。
両親の生命保険と、祖母があたしに残してくれたお金を足せば、あたし一人の生活費と、高校と短大の学費ぐらいには十分足りたし、それに、あたしは高校を出たら、働くつもりだった。
けれども、あたしはまだ叔父のことを、叔父の言ってくれた家族になろうという言葉を信じていた。
秀隆を溺愛している叔母はどうにもならないかもしれないが、叔父が出張から帰ってくれば、折を見て秀隆のことを相談できるかもしれない。
そして、あたしは声を立てないよう布団に顔を埋めて、少しだけ涙をこぼした。
もう家の夕食は終わっているし、ご飯は、バイト先の賄いで済ませることを叔母さんには電話で伝えてある。
あとはもう、今日が何事もなく終わることを祈るだけだ。
ただいま、と小さな声で挨拶して、あたしは2階の自分の部屋に上がる。
床に着替えの入ったバッグをおくと、あたしはバイトで疲れた体をベッドに沈ませた。
だけど、布団にはかすかに私のものとは違う汗の匂いが残っていて、あたしはまた、昨日のことを思い出してしまった。
やはり、あたしはこの家を出て、外で暮らしたほうがいいのではないか。
祖母が亡くなったとき、そもそも、あたしは一人で生きていくつもりだったのだ。
両親の生命保険と、祖母があたしに残してくれたお金を足せば、あたし一人の生活費と、高校と短大の学費ぐらいには十分足りたし、それに、あたしは高校を出たら、働くつもりだった。
けれども、あたしはまだ叔父のことを、叔父の言ってくれた家族になろうという言葉を信じていた。
秀隆を溺愛している叔母はどうにもならないかもしれないが、叔父が出張から帰ってくれば、折を見て秀隆のことを相談できるかもしれない。
そして、あたしは声を立てないよう布団に顔を埋めて、少しだけ涙をこぼした。