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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
 幸いにも、それから1週間は何事もなく過ぎた。

 このところ、帰りの遅い叔父には秀隆のことを話しそびれていたが、あの夜以来、秀隆はあたしのところへはやってこなかった。やはり、あたしが声を上げて、階下にいる叔父に、知れてしまうことを恐れているのだろう。

 あたしは水泳部とバイトを、半々くらいの割合でこなしていたが、シーズンオフでずっと走り込み&筋トレ部と化している水泳部よりは、バイトの方が断然楽しかった。
 バイトの中で、あたしには店長から、新たな仕事が与えられていたからだ。
 土日祝だけだが、紺野さんが調査で沖のサンゴ礁に潜る際のバディを任されたのだった。
 
 もっとも、バディを任されていた、と言えば聞こえはいいが、あたしの役割は万一、紺野さんに何かあった際によろしく頼む、という保険のようなものだった。
 あたしだって、ダイビングショップのスタッフのたしなみとして、それなりのレベルのCカード(ダイビングのライセンスのこと)は持っているけれど、紺野さんはあたしなどとは明らかにレベルが違うダイバーだった。

 後で教えてくれたところでは、モルジブやらパラオやらといった海外のメジャーなスポットはおろか、国内も、沖縄や小笠原やらといろいろなところに潜っていて、経験も豊富だった。
 要するに、あたしは紺野さんの荷物持ちで、紺野さんが、サンゴ礁やら魚やらをカメラで撮影したり、定点観測用のオモリを置いたりするお手伝いをすることになったのだ。
 サンゴ礁があるのは沖と言っても、湾の中にあって、それほど潮の流れも激しくない所なので、普通はショップの前の砂浜からエントリーできる。
 写真を撮ったり、定点観測用のオモリを設置したりして、予定の作業をこなすと、紺野さんとあたしはショップの前の海岸に一緒に戻ってくる。それを朝夕、繰り返すのだ。

 紺野さんはあたしがダイビングに興味をもっていることを知ると、暇をみて色々なことを教えてくれた。
 それは、あたしの知らない機材の使い方や過去に潜ったスポットの話など色々なことで、将来はダイビングのインストラクターになりたい、と密かに思っているあたしにとっては、どれもこれも面白すぎる話ばかりだった。

 いつの間にか、あたしは紺野さんのことを店長が言うように先生と呼ぶようになり、時折話してくれる色々な楽しい話を待ちわびるようになっていた。

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