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海猫たちの小夜曲
第1章 海猫の街
僕はサバティカルでの滞在を見越して、八潮津の海が臨める街外れにログハウスを建てた。土地を紹介してくれたのは、高瀬という大学からの友人で、今はこの八潮津に住んで、鯨類調査の仕事をしている男だ。
もちろん、このサバティカルのためだけに、わざわざログハウスを建てたわけではない。サバティカルが終わった後でも、継続調査の拠点に使えるし、定年後には、ここに住むのもいいかな、と思っていたのだ。
東京の生活が嫌なわけではないが、八潮津のログハウスに住んで、日がな一日海に出て、釣りやらシュノーケリングやらに興じる生活も悪くないと思っていた。
僕は今や、そういうことを自分一人で決断できる立場だった。
妻とは5年前、僕が38歳の時に離婚していた。
離婚の理由は妻の不倫だ。
僕が、たまたま昼間にマンションに戻った時、妻は、居間のソファの上で見知らぬ男に抱かれて、激しく喘ぎながら腰を振っていた。
僕たちには子供がなく、親権の問題もなかったせいか、あっさりと離婚が成立して、僕と彼女の結婚生活は6回目の結婚記念日の目前で終わりを迎えた。
それ以来、僕は子供もなく、妻もなく、という気ままな生活を続けている。
教授の中には、見合いを薦めてくれる人もいたが、僕は全てを断ってきた。
なかにはしつこい人もいたのだが、僕の離婚の経緯を知ると、それ以上の無理強いはしてこなかった。
もちろん、このサバティカルのためだけに、わざわざログハウスを建てたわけではない。サバティカルが終わった後でも、継続調査の拠点に使えるし、定年後には、ここに住むのもいいかな、と思っていたのだ。
東京の生活が嫌なわけではないが、八潮津のログハウスに住んで、日がな一日海に出て、釣りやらシュノーケリングやらに興じる生活も悪くないと思っていた。
僕は今や、そういうことを自分一人で決断できる立場だった。
妻とは5年前、僕が38歳の時に離婚していた。
離婚の理由は妻の不倫だ。
僕が、たまたま昼間にマンションに戻った時、妻は、居間のソファの上で見知らぬ男に抱かれて、激しく喘ぎながら腰を振っていた。
僕たちには子供がなく、親権の問題もなかったせいか、あっさりと離婚が成立して、僕と彼女の結婚生活は6回目の結婚記念日の目前で終わりを迎えた。
それ以来、僕は子供もなく、妻もなく、という気ままな生活を続けている。
教授の中には、見合いを薦めてくれる人もいたが、僕は全てを断ってきた。
なかにはしつこい人もいたのだが、僕の離婚の経緯を知ると、それ以上の無理強いはしてこなかった。