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海猫たちの小夜曲
第3章 終わりなき凌辱 ~海色のグラスと小麦色の少女②~
 翌日の学校でも、あたしは何とか平静を保っていたが、それも限界に近付いていた。
 もう、あの家には帰りたくなかった。
 今さらだけど、あそこに、あたしの居場所はないのだ。
 叔父や秀隆の慰み者になる以外には。
 
 だけど、あたしはそのことを誰にも話せずにいた。
 叔母にも、叔父や秀隆のいない隙を見計らって何度か話をしようとしたが、叔母はなんやかんやと理由をつけてあたしとの話に応じようとはしなかった。叔母は前にあたしが秀隆のことを言って以来、あたしと二人になるのを避けているようだった。
 
 あたしは早くこの家を出て、どこかアパートなりへ移ろうと思っていたが、それも保証人やら、まとまったお金やらが必要な話で、あたしの一存で動けることではなかった。両親の保険金や祖母があたしのために蓄えていてくれたお金の預金通帳は、あたしの机の引き出しに入っていたが、保証人のなり手となると、身寄りのないあたしには、叔父か叔母くらいしか、当てがなかったのだ。
 だけど、そのことを話そうにも叔母はあたしを避けていたし、叔父にはとても話せそうになかった。叔父の前に立つと頬を殴られ、犯されたときの恐怖が蘇ってきて、まともに話ができないのだ。
 それでなくても、あたしがこの家を出ていくなどということは叔父や叔母にとって世間体の良からぬ話で、そういうことを人一倍気にする叔父や叔母が、すんなりと認めるとは思えなかった。

 結局、あたしにとって何の進展もないまま、また1週間が過ぎようとしていた。

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