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海猫たちの小夜曲
第2章 絶望の始まり ~海色のグラスと小麦色の少女①~
 あたしが抗うのに疲れて、ぐったりとしたのを見計らうように、秀隆はジーンズを下げ、猛り立ったペニスを、あたしの前に出してきた。
 秀隆のペニスは醜悪なまでに怒張していて、あたしはこれからされることを想像して声を失った。

 あたしは、ショーツを部屋着のスウェットと一緒に脱がされて、下半身を剥き出された。そのまま、秀隆はあたしにのしかかって、先の濡れたペニスを秘部にあてがい、挿れるべき場所を探し始めた。

「……いっ……嫌ああっ!」

 秀隆のペニスが入口を求めてヌラヌラと秘部を這う恐怖に、あたしは思わず声をあげた。

「何を勿体つけてんだよ。バイト先で客とかインストラクターとやりまくってるくせに。」
 耳元で、粘つくような声で秀隆がささやく。

 ふざけんな、あたしは処女だ、と言いかけて、あたしは口をつぐんだ。
 秀隆なんかに憐れみを乞うようなことは、絶対にしたくない。
 それに、今更、本当のことを教えたところで止めてくれるとも思えなかった。
 むしろ、あたしが処女であることに興奮して、余計に昂るだけだろう。
 
 確かに、あたしの素行については、少し前に妙な噂が立ったことがあった。
「有坂は水泳部をさぼって、バイト先の人とやりまくっているらしい。」
 それは、あたしにとって、真面目に否定するのさえ馬鹿馬鹿しくなる中傷だった。
 
 あたしはいつも、ダイビングショップのバイトに精を出していて、水泳部の練習もさぼり気味だったから、口さがない連中にすれば、あたしなんかはそういう噂を立てるのに絶好の対象だったのだろう。

 そして、この小さくて退屈な街は、そういうささやかなゴシップに火をつけて煽りたてることはあっても、たしなめる方向には向かわないのだった。

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