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海猫たちの小夜曲
第4章 冷たい海 ~海色のグラスと小麦色の少女③~
先生はサンゴ礁の手前で船外機を止めると、アンカーを投下して、ボートを固定した。
沖とは言っても、ここは湾のなかでさほど潮の流れも速くないし、水深もせいぜいが7~8mというところだ。
要するに、ダイビングスポットとしては限りなく安全に近いところで、取り立てて危険があるような場所ではない。
いつものように先生と機材の最終チェックを済ませると、あたしは先生に続いて、海の中にエントリーしていく。
海に入った瞬間、ウェットスーツを通して、海水の冷たさが伝わってきた。
梅雨時で雨続きのせいか、明らかに水温は5月に潜った時より低くなっていて、あたしはウェットスーツを半袖のものに変えたことを後悔した。
だけど、このくらいなら、我慢できるはずだ。
なんせ水泳部では、ウェットスーツどころか、もっと薄くて露出の大きい水着で練習しているのだから。
あたしは事前に先生に教えられたとおり、撮影の目印にするために、場所ごとに違う色のフラッグを事前に指定された場所に置いていく。そして、その後は先生の写真撮影の邪魔にならないように水深の浅い場所まで上がって待機しつつ、バディとして、先生の写真撮影を見守るのだ。
だけど、今日の先生の写真撮影はかなり入念だった。
同じ場所の撮影でも、時間をかけて距離や角度を変えて幾度も撮影している。
あたしの寒気は、すでに耐えがたいところまで来ていたが、先生が作業をしている以上、バディのあたしが勝手に浮上して休むわけにはいかない。これはあたしの楽しみではなく、ショップの仕事で、お金に値する作業なのだ。絶対に、いい加減なことはできない。
あたしは口元を震わせながら、自分にそう言い聞かせ、ひたすら寒さに耐えていた。
沖とは言っても、ここは湾のなかでさほど潮の流れも速くないし、水深もせいぜいが7~8mというところだ。
要するに、ダイビングスポットとしては限りなく安全に近いところで、取り立てて危険があるような場所ではない。
いつものように先生と機材の最終チェックを済ませると、あたしは先生に続いて、海の中にエントリーしていく。
海に入った瞬間、ウェットスーツを通して、海水の冷たさが伝わってきた。
梅雨時で雨続きのせいか、明らかに水温は5月に潜った時より低くなっていて、あたしはウェットスーツを半袖のものに変えたことを後悔した。
だけど、このくらいなら、我慢できるはずだ。
なんせ水泳部では、ウェットスーツどころか、もっと薄くて露出の大きい水着で練習しているのだから。
あたしは事前に先生に教えられたとおり、撮影の目印にするために、場所ごとに違う色のフラッグを事前に指定された場所に置いていく。そして、その後は先生の写真撮影の邪魔にならないように水深の浅い場所まで上がって待機しつつ、バディとして、先生の写真撮影を見守るのだ。
だけど、今日の先生の写真撮影はかなり入念だった。
同じ場所の撮影でも、時間をかけて距離や角度を変えて幾度も撮影している。
あたしの寒気は、すでに耐えがたいところまで来ていたが、先生が作業をしている以上、バディのあたしが勝手に浮上して休むわけにはいかない。これはあたしの楽しみではなく、ショップの仕事で、お金に値する作業なのだ。絶対に、いい加減なことはできない。
あたしは口元を震わせながら、自分にそう言い聞かせ、ひたすら寒さに耐えていた。