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第4章 冷たい海　～海色のグラスと小麦色の少女③～

　先生のログハウスに戻り、電気毛布を敷いた先生のベッドに寝かされると、あたしは抗しがたい眠気に襲われた。
　ベッドの中は優しい匂いに満ちていて、あたしはまどろみの中で、それが先生の体臭だと気付いた。
　まるで先生の胸に抱かれて、先生から暖かさを分けてもらっているようだった。
　心の中で、あたしはずっと自分の失敗を責め続けていたが、先生の優しい匂いはそれすらもゆっくりと溶かしていくように思えた。
　そして、あたしは昨日からの寝不足もあって、急速に深い眠りに落ちていった。
　

　どれくらい、眠ったのだろう。
　あたしの頬を誰かが優しく撫でたような感触がして、あたしは目を覚ました。

　あたしはどっぷりと寝汗をかいていて、寝る前に着せてくれたフリースのパジャマはぐっしょりと湿っていた。窓の外の外気は、普通に初夏のそれで、太陽が激しく照り付けている。
　
　先生は、あたしの顔に浮いた汗を、タオルで拭ってくれていたようだった。
「……うん、体は温まったようだね。今、パジャマとシーツの替えを持ってきてあげるから、もう少し寝るといい。遥が、何か体が暖かくなるものを作ってくれる。今、買い物に出たところだから、出来るまでしばらくかかるだろうし。」
「……あの、ホント、いろいろご迷惑をおかけしてすいません……。」
　あたしは布団から顔を覗かせて先生に詫びた。