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海猫たちの小夜曲
第4章 冷たい海 ~海色のグラスと小麦色の少女③~
「今朝のことは君のせいじゃない。僕は昨日の夕方も潜って、雨で水温が下がってるのを知っていたのに、君に伝えていなかった。しかも、僕は撮影に夢中になっててバディの君をきちんと見てなかった。それは僕のミスなんだ。これからは、お互いに気づいたことは遠慮しないで言い合うようにしよう。僕と君はバディで、海のなかでは、僕らは命を預け合ってるんだからね。」

 そう言って、あたしと目を合わせた先生の顔は、あたしがいつも海色のグラスを見ながら思い描いている優しい顔そのままだった。

 あたしの目から、堰を切ったように涙が溢れた。
 そして、あたしの心に澱のように留められていた感情が、一気に溢れ出ていく。
 その奔流のような衝動に、もう、あたしは抗うことができなかった。
 
 あたしは見境もなく先生にすがりつくと、声をあげて泣き始めた。

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