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海猫たちの小夜曲
第4章 冷たい海 ~海色のグラスと小麦色の少女③~

「さて、望海さんの資産についてですが、望海さんがこの家に引き取られてくる前、ご両親の生命保険の死亡支払い金と、おばあさんの持っていた望海さん名義の預金口座を合計して、約2千万ほどありました。ところが、現時点での彼女の資産は約1千万に減っています。望海さんは机の鍵付きの引き出しに入れて、一切、手を付けていない、ということですが、奥様はこれについて、何かご存じありませんか?」
弁護士さんは務めて穏やかな声で言ったが、その内容は苛烈だった。
実際、あたしも、先生に資産を確認するよう指摘されて、初めてそのことを知ったのだった。
「あたしが知るわけないでしょう! どうせ、望海が自分で使ったんじゃないの? そもそも高校生のくせにダイビングなんてお金のかかることをしてるわけだし。」
叔母は薄ら笑いを浮かべて、弁護士に言った。
「わたしもダイビングをやっておりますので、確かに、金のかかるスポーツであることは否定しませんが、毎月、海外に潜りに行ったりしない限りは、いくらなんでもそこまでのお金はかかりませんよ。それよりも奥様がやっていらっしゃる投資の方こそ、お金がかかるんじゃありませんか?」
「何よ! あたしが使い込んだって言うの!」
「申し訳ありませんが、その可能性が高いと思います。通帳の引き落としの履歴を見ると、引き落としの時間はいずれも平日の昼間で、望海さんは学校にいる時間ですので。」
「とっ、とにかくわたしは知らないわよ! いい加減なことを言わないでちょうだい!」
弁護士さんの追及にも、叔母は頑として認めようとしない。
弁護士さんは務めて穏やかな声で言ったが、その内容は苛烈だった。
実際、あたしも、先生に資産を確認するよう指摘されて、初めてそのことを知ったのだった。
「あたしが知るわけないでしょう! どうせ、望海が自分で使ったんじゃないの? そもそも高校生のくせにダイビングなんてお金のかかることをしてるわけだし。」
叔母は薄ら笑いを浮かべて、弁護士に言った。
「わたしもダイビングをやっておりますので、確かに、金のかかるスポーツであることは否定しませんが、毎月、海外に潜りに行ったりしない限りは、いくらなんでもそこまでのお金はかかりませんよ。それよりも奥様がやっていらっしゃる投資の方こそ、お金がかかるんじゃありませんか?」
「何よ! あたしが使い込んだって言うの!」
「申し訳ありませんが、その可能性が高いと思います。通帳の引き落としの履歴を見ると、引き落としの時間はいずれも平日の昼間で、望海さんは学校にいる時間ですので。」
「とっ、とにかくわたしは知らないわよ! いい加減なことを言わないでちょうだい!」
弁護士さんの追及にも、叔母は頑として認めようとしない。

