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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第7章 再会

そのドサクサで男は囁く。
「感じ方が、厭(いや)らしいね。」
と。反論するのはホームに下りてから・・・。
ホームに下りると正面に柱があり、それを右へと避ける。そのすぐ右隣に男がいた。
見上げながら、照れ笑いを浮かべ弱々しく反論する。
「なぁに?それ?」
男は繰り返す。
「感じ方がね。すごく厭らしくて、色っぽいよね」
言葉が継げなかった。男は
「この後は、○○線に乗り換えるの?」
と聞く。次の目的地を知られているらしい。それならばと、むしろ裏をかいて、逆を言ってみたくなった。
「もう一往復、しようかな…」
気づいた時にはループする、と宣言する羽目になっていた。
「そう?それじゃお付き合してもいい?」
と、男はあくまでも紳士的に提案した。断る適当な言い訳を見つけられない。
「え?でも…」
ようやく探り当てた言葉は、
「でもね、誰だか気付かずに、知らない相手との緊張感がいいんだけどな。」
私、何を言っているんだろう…?
「僕だと気づかなかった?」
「うん、全然、だから、もう気づいちゃったからダメかもね。」
少し、困った様子の男。微妙な距離感が出来た気がした。それでも
「それじゃ、戻りの電車だけ。ね。」
一緒にホームを移動する。
この時間になると、ダイヤはまばらだ。今からだと五分以上待つことになる都心方向へ戻る電車を待つ人はまだ少なく、ホームはすいていた。無数の照明でどこも明るいホームから目を落とす先には、軌道が真っ暗な地面に四本、無限に細長い鋭利な刃物のような白く冷たい金属の輝きを放っていた。その輝きを目で追い左奥に続く郊外の方向、すなわちこれから電車がやってくる方向を覗き込んでみた。ホームとは対照的な漆黒の闇が広がる。その中に点々と明るく白い光が浮かんでいる。まるで一等星だけを集めた夜空の星のようだ。都会の闇に浮かぶ星空みたい・・・そんなことを思った。
都心方面へ戻る電車の乗り場・・・、三号車と書かれた乗車口の近くで二人ならんで到着を待っている。平日であれば次々と郊外へ帰る人を乗せた列車がやってくるホームは、今日は人もまばら、ダイヤもまばら。都心へ戻る方向の電車を待つ人はホームを見渡すと二~三十人くらいだった。自動のアナウンスだけが構内に響く。そして、
「まもなく七番線に列車が・・・」
と告げる。
「感じ方が、厭(いや)らしいね。」
と。反論するのはホームに下りてから・・・。
ホームに下りると正面に柱があり、それを右へと避ける。そのすぐ右隣に男がいた。
見上げながら、照れ笑いを浮かべ弱々しく反論する。
「なぁに?それ?」
男は繰り返す。
「感じ方がね。すごく厭らしくて、色っぽいよね」
言葉が継げなかった。男は
「この後は、○○線に乗り換えるの?」
と聞く。次の目的地を知られているらしい。それならばと、むしろ裏をかいて、逆を言ってみたくなった。
「もう一往復、しようかな…」
気づいた時にはループする、と宣言する羽目になっていた。
「そう?それじゃお付き合してもいい?」
と、男はあくまでも紳士的に提案した。断る適当な言い訳を見つけられない。
「え?でも…」
ようやく探り当てた言葉は、
「でもね、誰だか気付かずに、知らない相手との緊張感がいいんだけどな。」
私、何を言っているんだろう…?
「僕だと気づかなかった?」
「うん、全然、だから、もう気づいちゃったからダメかもね。」
少し、困った様子の男。微妙な距離感が出来た気がした。それでも
「それじゃ、戻りの電車だけ。ね。」
一緒にホームを移動する。
この時間になると、ダイヤはまばらだ。今からだと五分以上待つことになる都心方向へ戻る電車を待つ人はまだ少なく、ホームはすいていた。無数の照明でどこも明るいホームから目を落とす先には、軌道が真っ暗な地面に四本、無限に細長い鋭利な刃物のような白く冷たい金属の輝きを放っていた。その輝きを目で追い左奥に続く郊外の方向、すなわちこれから電車がやってくる方向を覗き込んでみた。ホームとは対照的な漆黒の闇が広がる。その中に点々と明るく白い光が浮かんでいる。まるで一等星だけを集めた夜空の星のようだ。都会の闇に浮かぶ星空みたい・・・そんなことを思った。
都心方面へ戻る電車の乗り場・・・、三号車と書かれた乗車口の近くで二人ならんで到着を待っている。平日であれば次々と郊外へ帰る人を乗せた列車がやってくるホームは、今日は人もまばら、ダイヤもまばら。都心へ戻る方向の電車を待つ人はホームを見渡すと二~三十人くらいだった。自動のアナウンスだけが構内に響く。そして、
「まもなく七番線に列車が・・・」
と告げる。

