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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第3章 深夜の公園
     2

 少し前に来た道を辿って、交番前の交差点で一旦停止。今になって胸の高鳴りを感じる。交番のドアはここからは死角になって見えない。警察官の姿も確認出来ない。ただパトカーの湿った光沢と交番から漏れる光だけが、目の奥を突き刺した。
 右折すれば帰り道。
 恵子の股間には今もまだ遠隔ローターがしっかりと収まっている。
 歩行者用の信号はあるが、脇道にあたるこちら側からは自動車用の信号はない。右折出来ないほどの交通量ではないが、強くアクセルを踏み込む事が躊躇われ、左に曲がった。進行方向が、自宅とは逆方向になる。次の角をさらに左折。公園の敷地の外側をぐるりと回って信号のある通りまで出るつもりだった。
 三百メートルほど進んだ先で左に曲がる。街灯に照らされた横断歩道だけが明るい。その先は北駐車場の入り口だ。
 横断歩道前の信号は黄色から赤へと変わるところだった。誰かが押しボタンを押さなければ信号は変わらない。惰性で停止位置までクルマは転がってゆく。歩行者用の信号はようやく点滅をはじめた。結局、横断歩道の前で停止した。
 誰か……、道路を渡ったのだろうか?
 人の姿は見かけなかった。
 青信号。北駐車場の方を見ながらクルマを発車させた。人影はない。入りが目の前に近づいてきた。加速できない葛藤に負け、右足はブレーキペダルに踏み変えていた。ウインカーを短く点けると素早く左折して駐車場に滑り込ませた。左奥に二台、左手前に一台、夜中なのに誰かが必ず車を停めている……乗っているのか、公園にいるのか、それとも単なる放置車なのか。
 右へとハンドルを切ると、奥のスペースに後ろ向きに駐車した。ライトを消す。『私、何を期待してるんだろ?』助手席のハンドバッグを少し奥にずらすと、ピンク色のリモコンがバッグの下敷きになっていた。スライドカバーは開いたままだった。左手に取って二秒間凝視し、無造作に右手の人差し指をスイッチにかけた。
 カチッ
 赤いランプが一瞬灯る。そして、恵子の股間が唸りを上げる。
 びぃーーーー。
 想わず膝を締める。半開きの目で今更ながら、駐車場の他の車の方を見た。誰かがこちらを見ているかも…。少しの間止めておいたバイブが、こうして再び動きだすと少し前のそれを遥かに凌駕する刺激をもたらした。
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