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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第4章 追跡者
 ややあって郊外へ向かう反対方向の列車が到着する。超満員。列車内で何かあっても不思議ではない。その列車と入れ替わりに、続いて入ってきた都心へ向かう列車の車内は空いていた。ロングシートに腰を下ろすと、すぐ隣と、そして真っ正面にどちらも似たようなやや明るい色調のスーツの男性が腰かけた。
 一人はエスカレーターの時、前に割り込んだ男。背はそれほど高くないのだが…がたいが良いというより、率直に言えばやや小太り。右隣の男は全体に小柄で、顔に刻まれた年齢を繕うつもりもない、といった印象だった。
 列車は走り出し、特に動きもないまま二駅が過ぎる。考えすぎだったか?山手線圏内の大きな駅へ近づく。この時間の終点はその次の副都心の駅で、そこから折り返し運転になる。ここで降りて引き返してそのまま帰ろう。
 スマホを取り出して到着時刻と次の郊外方面の時刻を調べる。
 列車はあっという間にネオンの輝く町を抜け巨大な駅に滑り込んだ。電車が完全に止まり、ドアが開くのを待って、一気に立ち上がり左へ進んだ。
 隣と正面の二人は…?
 やはり降りる。それも恵子が降りるのを確認してつけてきた、としか思えないタイミングで立ちあがった。それでも想定内である。階段を降りるとトイレがある。通路の形状が複雑で、この向かい側にも女子トイレがある。そのためここは混みにくい。待たずに個室に入れた。スマホを取り出して次の列車までの時間を再確認する。
 まだ七分ほどある。
 先程の缶コーヒーのせいか、個室に入ると尿意を覚えた。ついでに用を足しておこう。
そうして次に時刻を確認した時には、三分前になっていた。逆に間に合うか?と少し焦り、個室を出て手を洗うとコンコースに戻る。一瞬方向が分からなくなる。乗り場を見失った。発番線の案内を目で追う。四番線、真後ろにある階段を上った。かなり都心側寄りの場所に出た。ホームの北の端を目指す。アナウンスは列車の到着を告げていた。
 少し早足に。駆け出さないギリギリで、向かい合う三番線の点字プレートの上を急ぐ。
 やはり……。
 追いかけられている気配を感じる。
 列車が到着する。ドアから人の塊が吐き出され、半分くらいはまた並び直している。そこに間に合った。先頭車両の先頭のドア。後ろにふたり、駆けてきた誰かの気配。発車のメロディの下で次々とドアへと吸い込まれてゆく。


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