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第4章 追跡者

　シゲはこの時を待っていた。一旦ホームに吐き出される人の塊。もう一度乗り込む時が勝負だ。長官は降りずにドアの端ぎりぎりで乗降客をやり過ごし恵子をつかんで離さなかった。しかし、シゲの大きな体ではそうはいかない。ホームに降りたシゲは、ぎりぎりに車内に戻り恵子の右横についていた。
　左手の甲でそっと恵子のスカートに触れる。そしてゆっくり押しあてる。今さら、反応を見るまでもない、とは思うが、ここから始めないとシゲはどうにも落ち着かない気分だった。すぐに手を裏返して恵子の右側からスカート越しの尻の弾力を確認した。もう待ってはいられない。不器用にスカートを持ち上げその下に差し伸べようと、とにかく、その時はシゲはその事でいっぱいだった。

　長官は二度、三度指先でクリトリスと思しきあたりを下から上へ弾くようにタッチした。三度めに恵子のビクンという反応を確認すると、少しだけ悦に入った。俺のオンナになれ。時間をかけるように、そこから手を引き抜く。器用に肘をドアと自分の脇腹の間に逃がすと手首をみぞおちまで移動させる。今度は人差し指を伸ばし目の前にあった恵子の胸の先端を触り始めた。上から下へ掻き下ろすように、人差し指全体で恵子の膨らみの頂点を探る。
　『ノーブラでしたよ』。スマホの画面…シゲ君が送ったチャットメッセージが長官の脳裏を激しくよぎった。
　そこはすぐに反応した。コリコリとした触感…それは、そこに乳首があることを自ら告げているのも同然だ。ポツンとその形がはっきりと浮き出る。それにつれて恵子の反応も鋭敏になる。
　乳首に指先が触れる度、びくんびくんと身体を震わせる。なんて感度のいい乳首なんだ。長官は強引に恵子の右の乳首に届くところまで手を伸ばすと掌をつかって乳房を捕まえた。柔らかな乳房の中心に乳首がある。親指と人差し指を使ってそれを摘まむ。
「んっぅはぁ」
ひときわ敏感な反応が、長官の狩猟本能を覚醒させる。今度は親指の腹を使って乳首の上をこね回す。右回り左回り。
「ふっぅ、ん、はぁ」
　息遣いが荒くなる。吐息を漏らしながらも、健気（けなげ）に声をおし殺して長官の愛撫に耐える恵子を、ついに長官は自分のものにできたと確信した。身動きできない列車内で、長官は最後の仕上げに、恵子に自分の唇を向けキスを要求した。これで落ちる…ところが恵子の反応は長官の思っていたのとは違ったものだった。