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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第4章 追跡者
両足はつま先立ちで、力を込めることも長官から離れることもできない。顔を伏せ声をこらえる。その左の頬に長官がそっと唇を近づける。
 いや、キスはしない…。右下へと顔を逸らして逃れる。
 窓の外が明るくなった。駅のホームが見えた。もうすぐ止まる。長官の背を押してくれているドアは、ココで開く。
 長官は列車が止まりきるまで恵子を責め続けた。無限に長い一瞬だったが、しかしそれでも列車はとうとう駅に停まり、ドアはようやく開いた。外の空気が心地よい。車内の熱気は相当なものだ。長官は腕を掴んで恵子をわがものにするつもりだったが、一瞬早くかわしたのは恵子の方だった。
 降りる客は多くはないが、しかし車内中ほどまで押し込まれた数人の客が、降りますと声をあげながら向かってくるので、それぞれに通路を開ける。
 その隙を狙って恵子は振り向いた。カーキ色の上着の長身の姿もそこにある。一旦駅に降りる選択肢もあったが、それでは長官も付いてくる。逆にドアから離れて耀司に接近する…そんな淫らな、とは思うが、長官から逃れるためなら身を預けたかった。

 シゲはその様子を見ていた。シゲは恵子とは反対側に一歩下がり、自分の前で降りる客を通した。恵子との間に人ひとり分の隙間が出来ている。ここから見る恵子のスカートの裾が目に眩しい。三人の客を通すと恵子との間にできていた空間に飛び込んだ。さっきよりも混雑ぶりは解消された。恵子は奥へと逃げていく。構わずついていく。シゲの後ろには一瞬、不自然に空間が出来てしまう。だが駅を出れば列車の揺れが自然に皆を均等に散らしてくれるだろう。

 恵子は右脚の太ももの後ろ側を這い上がってくる、それまで感じたこともないような柔らかな手の平の感触を感じていた。やがてスカートの中へと侵入し右のお尻を包み込む。今日、こんなタッチは始めてた、そう感じていた。手が冷たい。緊張しているのかしら?そんなことを考えた。
シゲはついに自分の番とばかり、長官と恵子の間に入ることが出来た。長官は恵子の腕を掴んで引き寄せようとしたが、その間に自分の身体を入れて長官をブロックした。
 
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