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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第6章 贈り物
 待つ?待つって何を待つんだろう?思ったが、考えても仕方がない。言われたとおりに行く。その先は開けていた。地面がアスファルト舗装から石畳に変わった。ヒールの踵を引っ掛けないように気を遣って歩く。先には川があるらしい。確かにさっき橋を渡ってきたのだから、この先は川のはずだ。角まで来ると、右手に街灯があった。向こうからは恵子が見えるのだろう。こちらからは眩しくて見通せない。広い通りには間に芝生を挟んで前後に平行する二本の歩道があって、それぞれの道にベンチがポツンポツンと設置されている。その川岸の方のベンチで何かが動いた。黒いフードを着た男、二つめのベンチからむっくりと起き上がったその男が、フードの中からこちらを見た。
 足がすくんだ。時間が凍り付いた。
 そのまま、二秒…男は振り返ると川辺へと戻っていった。川岸にきらりと何かが光る。釣り糸・・・のようだ。この雨の中、何本のもの釣り竿を立てて夜釣りをしているらしかった。震えそうになる膝に勇気を振り絞ってエールを送り、角を右へ…、その釣り人の背後を通り過ぎるようにして進む。街灯の真下を通り過ぎ、ベンチまで三m、二m。その時だった。
 ぶぅーーーーーーーーーーーーっ
 思わず、
「ふんっ。」
っと声にならない声をあげその場に立ち止まって膝を締めた。そう、リモコンバイブがついに動き出した。まだ、弱く連続でぶぅーーーーっとだけ振動している。深呼吸してベンチまでよたよたと歩く。
 びぃーーーーーーーーーーーーっ
「んんぅっ・・・ぁっ」
強くなる。バイブが、クリトリスを刺激する。ベンチまであと少し。
 びいいぃーーーーーー!
 さらに強くなる。動けない。その場にうずくまりそうになる。おしっこを我慢するように膝を締めX脚状態でお尻を突き出して、かろうじて立っている。釣りをしている雨合羽が異変に気づいて振り返る…気がした。チラッと川の方を見る。気付かれてはいない…。そして、よたよたとベンチのすぐそばまで来た。ベンチは雨でびしょ濡れで、腰を下ろすことはできない。芝生に入り、スマホを持つ右手でベンチの背もたれの上の金属の縁に手をつく。冷たい金属の感触。ここでベンチの陰にしゃがみこめば川の方からは見えなくなるだろうが…。ただ、そうしてしまったら、ここでしゃがみこんでしまったら…もう、声をこらえておく自信がない。
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