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淫戯日記・恵子 ~続けてもいいですか~
第6章 贈り物
「そうか、恵子さん。はじめまして。」
 聞きたいことがあり過ぎて、どこから始めればいいのか分からなかった。まだ二十代半ばといったところの娘だ。電車の中で出会ったのか、それとも公園で出会ったのか、この娘があのワゴン車の主なのか?どれもこれもギャップだらけ、謎だらけだ。
「ユウリちゃんも、・・・ここで、イキたい?」
考えた末にやっと出てきた言葉がそれだった。思っていない答えが返ってきた。
「ゆっくり出来る、クルマあるよ。」
 ユウリが背中から離れると、恵子は上体を起こし向き直った。ユウリは傘を拾いあげ、芝生を出て歩道に降りる。お互いがお互いのバイブのスイッチを持ったまま二人は駐車場へと向かった。
 水辺で不思議そうにこちらの様子をうかがっていた雨合羽が、再び水面(みなも)に向き直ったような気がした。

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 この公園へ来るまでの間Yとはどういう人物かと、恵子は思いを巡らせていた。隠し撮りをするような悪質な男…それとも、全て知ったうえで耀司が自分をからかっている?…いずれにせよ、ユウリのような女の子ではなかった。
 なぜ、写真をもっているのか。それは、とりあえずも多分同じトイレにいたからだろう。女同士ならおかしいということは無い。それに、現に姿を見かけた。もちろん、どうやったかのかまでは分からない。それでもトイレ内ですぐ傍にいたのだし、そこで恵子が自慰に及んだことを、聞き耳を立てて知りえたのかもしれない。
 プライベートを撮影して脅迫めいたことをするなんて酷過ぎる、と思っていたが、ユウリと会ってみて頭ごなしには怒る気になれなかった。どうして同じ駅で同じ日の全く違う時間に二度もばったりで出くわすのか…なんて事は、たぶん聞き出せば分かることだ。同じ電車に乗っていて近くにいたのに違いない。痴漢されるために特定の路線をループする女がいるという話を耀司とのメールで読んだことがあった。ユウリはレズビアン。誰かれ構わず恋愛対象には出来ない。誰かれ構わず手を伸ばしてくる電車の中の痴漢というのは、ユウリの欲求とマッチする部分が多いのかもしれない。そうやって見つけた相手というのが…私なのか?そう考えたら恵子は苦笑した。
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