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恋人はスーパースター
第2章 如月隼人の一日



隼人が芸能プロダクションに入ったとき、樹は既にかなり上の方の先輩だった。

この世界は、縦割り社会で、生き抜く術を教えてくれたのも、樹だった。

ユニットを組む話が舞い降りたとき、天にも昇るような気持ちになり、樹のレベルまで追い付くのに隼人なりに、歌やダンスを頑張った。

世間にやっと認められ、樹の隣にいれることを誇りに思っている。

両親は、兄が家を継ぐからと、幼い頃から自分のことを放任して、この先も、ずっと自分のやりたいことだけを、貫いて生きていくと、隼人は、心に決めていた。

一方、樹も親からは、束縛されない環境下にある。

母親がアイドル好きで入った芸能界だ。

やれるところまで、やれというのが、彼らの想いらしい。




「…えっ?柚、東京ドーム、来るの?」


樹が珍しく、驚いていた。


それを聞いてしまった隼人も驚いている。


「…ん、わかった。じゃ、気を付けて学校に行きなさい」


携帯を切ると、樹は、また元のワイルドな表情に戻った。


「柚が、友達と一緒に東京ドームに来るってさ」


「いつ?」


「最終日」


「へぇ…柚葉、友達いたんだな」


「うん」


「うんって、心配じゃねぇんですか?」


「俺は、柚を信じてるから!」


「………」


「柚が、選んだ友達なら、間違いない」


「…ああ、そうですか」


「で、その、友達、隼人の熱狂的なファンらしいんだよ」


「…なんっすか?その変なプレッシャーの掛け方は!!!!」



「柚の友達に、本性を見せないで欲しいなっていう、プレッシャーを与えている」


「…樹さん、マジ怖い」



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