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アーティストなS彼
第2章 故郷
昭和29年の出来事を調べるため二人で向かう学校の図書室。
途中で女子生徒の鋭い視線を浴びる愛美。
(勇気君…かっこいいからな…)
その視線に怯えながらも、優越感も感じていた。
(まぁ勇気君の彼女になるなんて…こんな私にはあり得ないよね)

そして着いた図書室。利用者は誰もいなかった。
まずは昭和の歴史書を探す。
割りと高い棚に収められていた。愛美が背伸びして本を取る。
勇気の目には制服越しに愛美の豊なバストが見えた。
「愛美って、俺の言う事が変だと思わないのか?」
「えっ!どう言う事?」
「いつも俺の言う事は、聞き返したり疑われたりするだがお前はそう言うのないのか?」
荒唐無稽な性格の勇気だ。
(何をしだすか分からない)
と言う恐れがあるから、周囲の者はその様な反応をするのだろう。

「うーんだって…勇気君が言った事だから、素直に聞いたよ…」
「俺が言っている、昭和29年ってはゴジラが誕生した年なんだ…」
「ゴジラってあの怪獣のゴジラの事?」
「そうだ!」
愛美は少し考えたが笑って言った。
「いいじゃない!面白そう!」
勇気は驚いたが、やがて鋭い眼光が緩くなり声を上げて笑った。
「お前は面白いやつだな!」
初めてみた勇気の穏やかで子供の様な顔。
(勇気君ってこんな顔するんだ…なんか可愛いい)
その顔を見て愛美はときめいた。
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