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アーティストなS彼
第4章 Wの加虐
しおらしい指使いで近づいてくるヤマさん。
「留美ちゃんの変わりにこの娘なの?」
「あの留美ちゃんって?」
愛美が聞く。
「ああ…聞いてないんだ…前の勇ちゃんの元カノよ」

するとすっかりアメリカサイズのソファーに足を組みながら深々と座りながら勇気が言う。
「留美はそんなんじゃねぇよ…そいつは愛美って言う。俺の高校時代の同級生だ!」

(恋人と言ってもらえなかった…)胸が痛む。

「あら〜この娘も福島なの始めまして。山川って言うわ。勇ちゃんみたくヤマさん!って呼んでいいよ」
「ああっ斎藤愛美って言います」
軽く握手する。
「あの…このサロンでひょっとして、私が髪を切るのですか?」
「そうよ。勇ちゃんはいつも女の子を連れて来て私が超絶美人にするのよ…そうでしょう!」
「そうだ!俺の髪は1500円均一で充分だよ」
勇気はそのまま座りながら雑誌を読んでいる。
「残念ね…そのうち切らせてよ…」
「いやだね!ヤマさんが切るとマネーが半端ないじゃん」

正にカリスマ美容師のオーラがヤマさんにはある。
料金は想像も出来ないような高額なのだろうな…と愛美も想像できる。
(でも…私の髪を切る料金ってどうなるの?勇気君のお財布は大丈夫なの?)

そう思い始めた時…
「どうぞこちらへ…」
そのままファション誌から出て来たようなアシストの女の子が愛美を美容椅子に座らせる。
女の子がスルスルと愛美の首タオルを巻きスモックをを着付ける。

鏡に写る自分。
都会のお洒落なヘアサロンの中で、こんな自分なんかが綺麗にしてもらう事に恥と罪悪感がある。
「なに緊張しているの?」
ヤマさんが鏡の世界に来た。
座る愛美の横に立つ。

「アーティストな勇ちゃん…愛美ちゃんをどんなスタイルにしたいの?」



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