この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第10章 墨の華~過ぎし日の回想録
「……奏多……奏多……」
「あ……ん……」
「愛しくて、愛しくて、どうにかなってしまいそうだよ」
「私、私……」
ほんの少しだけ、舌先で触れれば奏多が反応した。
躊躇いがちに開く唇、恐る恐る差し出される舌。それを見逃さずに、唇と舌先を触れ合わさせれば、奏多の舌がピクッと逃げるように引っ込んでしまう。
「怖がらないで奏多。
奏多が嫌がることは絶対にしないから」
「私その……こんな時にどうしていいのか……」
「では僕のやることを受け入れて? 嫌なら嫌と、はっきり言ってくれればいい」
「聖さんを……受け入れる」
「そう。逃げないで奏多」
もう一度舌先で触れれば、奏多はおずおずと舌先を絡めてくる。……怯えずに。
焦らない。奏多の気持ちを優先に、僕も奏多の舌に自分の舌を絡めた。
ペチャと卑猥な音を耳に聞きながら、奏多に触れるのを止められない。
キスはどんどん深まり、舌の付け根まで侵入し少しだけ吸い上げる。そうすれば奏多の体が震え、耐えきれないように僕の服を両手で握りしめ、それでも僕のキスに応じてくれる。
いじらしい奏多の行動に、僕のほうは歓喜と興奮を隠しきれない。
……夢にまで見た奏多と。
そう思えば思うほど、体中が高まってゆく。男としての僕が頭をもたげる、はっきりと分かる欲情。
「……奏多……」
「……ぁ……」
唇を離し、奏多をまた抱き締めれば、今度は僕に身をゆだねてくれる。
とても幸福なひととき。
僕に堕ちた奏多を、大切に僕は抱き締める。この先に進むために。