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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第10章 墨の華~過ぎし日の回想録
「んんん……はぁ……」
「そう……僕に合わせて、奏多の声をもっと聴きたい」
「だって……あっ」
スッと手を伸ばし、帯留めに手をかけたことに奏多は気づいたよう。
男性と違い、女性の帯は解くのが面倒でもある。奏多の体を横にし、何重にも結われた帯を寛げるのは、まるで男の期待そのもの。
長い帯が畳に広がる光景、伊達絞めを解く時の高揚感、腰紐を引く時のドキドキする動作。全て解いて着物を広げても、中にはまだ長襦袢という壁があり、同じ手順で寛げるが、期待感はこちらのほうが大きい。
シュルと最後の腰紐を引けば、ハラリと乱れる長襦袢、少しだけ見える奏多の白い柔肌。着物で乱れる奏多はなんて美しいのだろう。
「やっぱり恥ずかしい」
「なぜ? 凄く綺麗だよ奏多。形よい胸も、細く長い手足も、折れそうなほど華奢な腰も全てが美しい。
隠すのが勿体ないほど理想的な体型なのに、なにが恥ずかしいのかな?」
「こ、言葉にされると、余計に恥ずかしいです」
「僕は本当のことを言っているまで。奏多は僕の理想そのものだよ」
「あっ! あぁ 」
長襦袢を払いのけ、体のラインに沿って指を滑らせただけで、甘い喘ぎ声を上げる奏多を、もっと責めたくなるのは男の本能だろう。
痕を付けた喉元に唇を寄せ、どんどんと下に向かえば、ふくよかな胸が出迎えてくれる。ここも弾力があるが柔らかい。
……間違って赤い刻印を付けてしまいそうだ。