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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第11章 二夜の過ち
「朝陽、大丈夫かな……」
ここじゃ、なにも情報が入らない。もし朝陽と連絡を取ったとして、聖さんの家に居るなんて朝陽に言える? どんどんと朝陽に言えないことが増える、朝陽にだけは嘘を吐きたくないから。……こんな私は少し嫌だよ。
洗面所で落ち込んでいれば、お手伝いさんの『起きられましたか』という声が聞こえる。応えないわけもいかなく、私は泣く泣く洗面所から出て、お手伝いさんに対応する。
「おはようございます。
遅くまで眠ってしまい、すみません」
「いえいえ。
聖さんから、疲れているだろうから、自然に起きるまで起こさないようにと言われていましたので」
「あ、あの……聖さんは?」
「会社に行かれました」
「そう……ですか」
そうだよね。私は聖さんのお陰で休みだけど、聖さんには普通に仕事があるのが当たり前。社長の片腕だもの、私に構う暇が無いくらい忙しいよね。
「まずは着替えますか?
聖さんからは、風呂に浸かったほうがいいと言われていますけど」
どうしよう……昨日のこともあるし、一度しっかり風呂を使ったほうがいいんだよね? でもまだ少し怠いし……風呂に入れば怠さも抜ける??
「じゃあ、お言葉に甘えて風呂でいいですか?」
「勿論ですとも。
今日は着やすい浴衣を用意しますので、後で着替えましょう」
「お願いします」
私一人じゃ、着物どころか浴衣も着れないよ。
洋服が普通の今の世代で、和服の着付けを知っているほうが少ないと思う。