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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第12章 聖と巽
じゃあ、私が高校を卒業する頃には、聖さんも、巽さんも居なかったんだ。
初めの話では居たと思っていたけど、しっかりと聞かなければ分からないよ。
「だから奏多を見失ってしまった。こっちでは奏多の進学先までは分からなかったからね」
「そうだったの」
こうしている時の聖さんは普通、会社で見る聖さんと同じ感じ。性的なことが絡まなければ、穏やかで優しい人。流される私としては、今の聖さんが心地いい。
「巽も会社に正式入社のはずだったんだけどね、奏多の名前を見て意思が変わったよう。……そうそう、後で巽が来るよ」
「えっ、巽さん!?」
「……意外?」
「凄く意外です」
もう会うことは無い、そう思っていたから心の準備が……。忽然と消えた巽さん、なぜ消えたのか未だに疑問に思ってる。私がなにかしたのかなって。
だけど……会って私はなにを話せばいいのだろう? 私的には、会ったのは一度きり、それもあんな弱気な私を見せてしまったのに、どんな顔をして会えばいいの?
「気が気じゃないんだよ、奏多が僕のところに居ることがね。なによりも奏多を優先する巽だから」
「どうして? 私はなにも知らない」
「それは僕からでは……。巽に直接聞いて欲しい」
「巽さんに……」
まだ隠していることがある。ずっと話を聞いていて、それは理解しているの。聖さんは答えをくれない、巽さんは答えをくれる? そこが、私にはいまいち確信が持てないところなのよ。