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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第12章 聖と巽
けどな、俺は一応社内のことは知らないことになっている。なのに三科の野郎をぶん殴ぐれるか?
(腹は立つが我慢するしかないだろ)
思わずアクセル全開にしそうなのを寸でで堪え、聖の家までひた走る。
聖の家というが、俺の家でもある。親父が元々住んでいたのがあの日本家屋で、俺も19歳まであの家で過ごした。
「それよりも……聖は奏多を……」
抱いたのだろうか?
俺が気になるのはこの一点。あんな怪しい教育のせいか、聖は夢中になれば多少手段を選ばない傾向がある。もし奏多に無茶なことをされたら、俺はどうする? 聖の想いを考えれば、奏多に手を出すのは致し方なしとは思うが、そのやり方のほうが問題だ。
「溺愛すればするほど、壊すまで抱きそうだしな」
聖の身体的なことは勿論知っている。それで何人の女が潰れたかもだ。
相手が奏多だから手加減はすると思うが、続ければ奏多を壊しかねない。だから俺が奪うのか? いや違う、そんな話じゃない。
「選ぶのは俺たちじゃない奏多だ」
これだけは聖とも話合った、『決定権は奏多に全て任せる』と。聖もそれに同意し現在にいたる。といっても、あの奏多のことだ俺か聖を選ぶ可能性は低い。こんな時は、社長息子という立場が恨めしく思うんだよ。
「はっきりする前から、なに女々しいことを考えているだか」
まだ決まったわけじゃない、そのために俺が実行したとんでもない秘策。実を結ぶかは知らんが、奏多は確実に心を開いてくれている。……いつ本当のことを言い出すかが最難関だがな。