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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第12章 聖と巽
◇
「……よぅ」
「お帰りなさいまし巽さん」
「聖は?」
「今は自分のお部屋のほうに居られます。後、お客様がお一人……」
「客は知っている。聖は部屋なんだな?」
「はい」
昔から働いているお手伝いが迎えに出たが、俺は相も変わらずぶっきらぼうに応え聖の部屋を目指す。
好きとか嫌いの話ではなく、構われるのが苦手なんだ。向こうもそれを知っているから、絶対に『様』は付けない。俺も聖もそう呼ばれることを嫌うのを熟知しているためだ。
割と家屋の奥に当たる聖の部屋を覗いて見れば、デスクに向かいネットでのやり取り真っ最中。
「……わざわざ休むからだ」
「早かったね、来るのは夜になると思っていたよ」
「これでも終らすもん終らせてから、かっ飛んで来たんだがな」
「くすくす……。
終らせるもの……ね。巽は辛抱強いから」
「余計なお世話だ」
適当な場所に座り、話の本題へと持ってゆくつもり。でなければ、聖は回避することを考え出しかねない。
「……奏多は大丈夫か?」
「電話で話した通り首元の痣、多分もう少しなにかはされたとは思う」
「たくっ。こっちが避けていたっていうのに、隙を見て誘い出すとはな」
「彼女一人なのには驚いたよ。なぜ近くに居なかった巽?」
「なんて言ったらいいんだ? 少し距離をおこう、そう思った」
「……その結果があれ」
「そこは悪いと思っている。だがな、三科を完全に排除することは出来ない」
「彼女が受付に居る限りね」
「あぁそうだ」