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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第12章 聖と巽
社員でも社外でも、必ず通るのがエントランス。しかも三科は営業だ、時間問わず自由に会社に出入り出来るし、奏多に会う頻度も高い。
もし奏多が経理なんかに配属されていたら、こんな問題は起こらなかっただろう。聖を通して他部署移動を計画しているが、親父が直に決めたせいで人事が中々首を立てに振らない。
最低半年は受付。これは親父の決定で、なぜ奏多に目を付けたのかまでは知らされていない。そのせいで、こっちもやりにくいんだよ。
「やはり部署移動は無理か」
「いい顔はされないね。それに今期の受付は評判がいいと噂になっているのも、動かせない理由の一つだよ」
「よく言うな、親父にはバレてんだろ?」
「まぁ、バレてはいるとは思うよ。というよりも、あれでバレないほうがおかしくないかい?」
「まぁな」
親父の腹の内なんか知るか! ……と、言えれば楽なんだが、現実的に考えて、そんな暴言を吐くわけにもいかず。満遍なく社内を見渡す迷惑な親父だな。……会社は順風満帆だが。
「……まだ聞きたいことがあるんじゃないかい巽?」
「聖のほうから言い出すとは思わなかった。……抱いたのか、奏多を」
「抱いたよ」
「……そうか」
「もっと怒ると思っていたのに、意外と冷静だね?」
「少し考えれば解ることだろ。俺が心配しているのは、過ぎて奏多を壊さないかということだ」
「それは……僕にも分からない。でも彼女は僕を受け入れてくれた。怖がらず普通に……」
「普通……か……」