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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第12章 聖と巽
その普通を教えてしまったのは……俺だ。これだけはどう言い訳も出来ない。
やっと普通になったのに、三科に聖と苦労するな。
「流石に譲る気にはならないね」
「俺も同意見だ。だが決めるのは奏多、その約束は守って貰う」
「それは当たり前だよ、僕たちが選ぶべきではない。彼女の人生だからね」
「三科は仕留めたいがな」
「ん?
一応釘は刺しておいたよ、『彼女に手出しすれば僕が君を許さない』と」
「言っていたのか」
「そのくらい言わなければ懲りないと思ってね。言っても懲りないかもしれないけれど」
「それなりの自己中性格だからな、かなり怪しくないか?」
「僕もそう見ている」
「ちっ、余計な……」
「三科だけではなく、かなりの男性が彼女に目をつけているのも留意して欲しいね?」
「本人にもう少し自覚があれば早いんだが、自分は美人でもなんでもないと思っているのが痛い」
「周りの男性が振り返るほどの美人なのにね」
「全くだ」
無自覚が最大の敵とでも言うんだろう。奏多のあの性格が、面倒を引き起こしていることに、本人は気づかない。ガードするにも限度があるんだぞ? 裏で俺がどれだけ苦労しているか、奏多は思わないんだろうな。
聖との話は一旦お開き。
理由はネット会話が激しくなって来たせい。これでも親父の片腕なんだ、本当は激務なのを俺は知っている。学生時代から聖を手伝っていたせいだ。
手が空いた俺が次に向かったのは、家屋の反対側になる客間。そう奏多が今居る場所。