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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
「落ち着いたかい奏多?」
「はい……。
取り乱してすみません」
「ならいいのだけどね」
「普通遠慮しないか?」
「誰に遠慮するの?」
「それを聞くか」
「……ぷっ。
仲がいいんですね」
おいおい、このやり取りで『仲がいい』ときた。奏多のツボも分かりにくいな。
俺は困り顔で、聖は笑顔、こんな時は二人揃うと面倒なんだよ。……特に俺がな。
「仲は悪くないよ。ずっと二人で育って来たからね」
「悪くはないな。性格の違いは個性だ個性、そこまで似るわけないだろう」
「そうですか?
聖さんは穏やかで、巽さんはヤンチャな感じですけれど、話すことは似ています。兄弟の不思議ですね」
「そう?」
「そうか?」
「ほら、似てますよ」
今まで意識したことすらなかったんで、揃って『…………』と、顔を見合せて黙りこむ。似てると言われれば似てるな。口調こそ俺が荒いが、主義主張はほぼ同じ、争うことも滅多にない。それこそ話し方は個性だ!
「奏多は僕と巽、どちらが好み? まぁ、いきなりこんなことを聞いても、戸惑うだけだろうけどね」
「聖にしてはストレートだ」
「私……ですか……」
奏多の瞳が陰る。それこそ直球過ぎだろこれは。
そうは思うが、聖も同じことを思っていたのか、本当に似ている。
暫く俯いてしまった奏多、心配で俺も聖も奏多を見るが、奏多は黙ったまま。
なにを考えているのか読めない分、俺と聖は互いに視線を合わせ、奏多が口を開くまで話さないことにしてみた。