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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
「そんなことがあったんですね……巽さん、聖さん。凄く辛くて悲しいです」
「もう過去話だ、今は奏多以外抱く気にもならん。
それと敬語は無しと、前に言ったよな?」
「あっ……でも……」
「普通に話をしてくれたほうがいい」
「努力……してみます」
「だからそれも敬語だろ?」
「あぁ! ど、努力する……ね?」
「そうだ」
これは中々直らんな。俺は普通の奏多を『知って』いるだけに、敬語で話されるのがムズ痒い。なるべくなら普通で居て欲しいんだよ。
さて、夕食まで時間はあるし、数時間をどう奏多と過ごすべきか。
「…………」
チラリと見たのは外、俺が来た時奏多は縁側から庭を眺めていた。肌寒くはなったが、庭を歩いてみるのもいいかもしれん。
「庭に出てみるか?」
「いいの?」
「誰も文句は言わん」
「行きたいです!」
「あぁ、寒いからこれでも羽織ってろ」
また起き上がり、私用だからと適当に着て来たジャケットを脱ぎ奏多に羽織らせる。急だったのでキョトンとした奏多だが、俺のジャケットを握り締め少し笑ってくれた。
「温かい、それに巽さんの匂いがする」
「……っ」
おいおい、いきなりそれは反則だろう。奏多の仕草にドキッとした俺も俺だが、笑って惚れている女にこんなことを言われれば、俺でもドキッとするぞ。
「爽やかな香水の香り。あの時、私にジャケットをかけてくれた時も同じ香りがしたんです」
「あぁ、常習的に使ってはいるな」
「いい匂いだと思ったの」
「こういうのが好きか?」
「はい」