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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
「もう少し男心を分かれ」
「それ、前にも聞きました」
「言った覚えはあるな。そんなに無防備な姿を晒されると……襲うぞ?」
「……えっ!?」
確かに言った『男はエロい生き物』だと。それを覚えているなら話が早い。転ばれぬうちに奏多の腕を取り、俺の腕の中に引きずり込む。
「言っただろ?」
「……あ……」
木を背にして奏多を抱き締めながら、悪戯な触れるだけのキスを仕掛ける。本音を言えば、この場所でなにかをする気はない。ただ奏多をからかいたくなったという感じか。
「巽さん」
「嫌か?」
「嫌……じゃない」
「じゃあ、もう少し遊ぶか?」
「んん……。その前に、一つ聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと? 俺に?」
多分、俺と聖で奏多の知りたいことは話したはず。他になにかあったか?
「あの時……どうして朝、居なくなっていたんですか?」
「それか……。
居ればまた不安がるかも知れん、そう思った」
「巽さんとのことは現実とは思えなくて……。一夜の幻だったのでは、そう思った時もあったの」
「一緒に居たほうがよかったか。……悪かった」
あの時、俺のほうが都合が悪く、奏多が寝ている間……夜が明ける前にホテルから出た。未練たっぷりだったけどな、これだけは致し方なく、奏多に本当のことも言ってやれん。
この秘密だけは奏多には言えん。いや、いつかは言うことにはなるだろうが、今は間が悪いだろう。