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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
◇
流石にあれを聞いて、悪戯する気も失せた。後は奏多の手を引き庭を回っただけに留めたんだよ。
客間に戻れば案の定夕食がセッテングされている。これは聖の差し金、俺が居間で飯を食わんと知っているからだ。
「……今日も豪華」
「普段はもっと質素だぞ。滅多にこない客人が居るから張り切ったんじゃないか?」
「それ、聖さんも言ってました」
卓には秋の味覚が沢山。
キノコ、栗、秋刀魚、ついでに言えば手作りか? ブルーベリーを加工した酒まであるときた。随分と仕込んだもんだな。
「遠慮しないで食えばいいんだよ」
「この三日毎日豪華で……なんだか気が引けてしまいそう」
「もてなしたいんだろうさ」
にしても、随分作ったなおい! まぁ食べられるだけは食べるが、一人分の食事量を考えてんのかよ?
奏多が座り食べ出したが、数品でお腹が一杯のよう。俺でさえあますぞ。……酒は甘めで旨いが。
「ブルーベリーって美味しいですね」
「甘いからと飲み過ぎんなよ。見た目より度数は高いはずだ」
「でも美味しくて進みますね」
「それは否定しない」
俺自身も辛口より甘口が好みだが、よく味わえばキツい酒の味が混じっている。本当に大丈夫か奏多は?
「おい、奏多?」
「……はい? なんですか……巽さん?」
「はぁー、だから言わんことじゃない。少し横になっていろ」
「酔ってますか……私?」
「……自覚がないのが一番困る」
酒に強いのか弱いのか、よく分からんな。その場に奏多を寝かせてみれば、奏多はすぐに眠りに入っていく。またこのパターンか。