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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
「……六年? 七年前になるのか?」
俺が奏多に出逢ったのは中学の時の話。学校は別だったが、中体連で近くの学校が合同で俺が通う学校でバスケの試合が行われた。
俺はスポーツ系の部活には入っていなかったが、同じ校舎内だ普通に歩いているだろう? そんな時に人とぶつかってしまい、その相手が奏多だった。
『ごめんなさい大丈夫?』と奏多が言ったので、見えにくい眼鏡を上げて顔を見た途端、俺は奏多に猛烈に惹き付けられたのが忘れられない。『怪我とかしなかった?』そう問われても、俺は頷くだけで言葉が出ない。いや、正確に言えば、知らん相手とは話すなという、祖母の慣習のせいだったんだが。
『後からでも、怪我とかしていたら言って? 私は夏目奏多って言うの』この時初めて奏多の名を知った。調べたら隣の校区の学生で、俺は知り合いから奏多の進学校を調べて貰い同じ高校に入学。クラスが一緒になることはなかったが、俺はいつも奏多を見ていた。奏多に気づかれることがないように……。
(本当に古いことを思い出したな)
初恋で忘れられなく、でも奏多を見失い諦めかけた時に、伊礼に入社予定と知り現在にいたる。俺も偏っているなとは思ってはいるが、いつまで経っても頭の中から奏多は消えてくれず。その腹いせ混じりにナンパし、女を鳴かす日々も続いたが、奏多を再び見つけ綺麗に足を洗ったさ。
(せめて奏多の前では、綺麗な俺で居たいんだよ)
俺の僅な望み、それが奏多。汚れる前に戻れやしないが、少しでも身綺麗にはしていたいだろ? 惚れている女の前ではな。