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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第13章 付き合ってみる?
昔のことを思い出し、ほどよく毒気も抜けたところで俺は漸くシャワーから出た。といってもまだ深夜も早い時間、もう少し酒でもと卓の前に座りグラスを傾ければ、隣から身動ぎする音がする。どうするか、覗くか? 覗かないか?
(無理に起こす気はない)
寝返りを打った音だとすれば、奏多はまだ眠りの最中。何度も思うが、無理をしてまで奏多を抱く意思は俺にはない。……本当に奏多にだけは弱いな俺も。
「暫く秋の味覚でも楽しんでいるさ」
酒は弱くない、聖と同じくかなり強い部類には入るはず……世の中にはもっと凄い酒豪はいるが、そこまで相手をしていられるか。
俺にすればデキャンダ、一つ分の酒で十分だ。そんなことを思いながらグラスに口をつけていれば、奥の障子が開く。
「……巽さん……」
「少しは酔いが覚めたか?」
「私また……ごめんなさい」
「一応は言ったんだがな、それでも酔うのは仕方がないだろ」
「はあ……。酔いはかなり覚めましたけど、まだ飲んでいたんですね」
「まぁな、俺はそこまで酒に弱くないんでな。折角の秋の味覚なんだから、夜中まで楽しんでいようと思っていた」
「私は短大に入ってからお酒を覚えたので……。普通くらいしか飲めないです」
「それで十分だろ? 飲み過ぎる女も嫌われるぞ」
……一般論だが。
それでも、とんでもない酒豪の女が居たな。俺とさほど歳は離れていないのにあの酒量、流石に根を上げた情けない経験が俺にだってあるんだよ。