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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第15章 社長息子と社長息子のバトル?

「巽、僕にだって野心や欲はある。特に彼女のことに関しては、巽並に執着があることを理解しているはず」
「だからと言って、やっていいことと悪いことがあるだろうが。選択肢は奏多にあると言ったのは聖だぞ」
「確かに言ったよ。でもね、その選択肢に手を加えることはしないとは言っていない」
「無理やり孕ませ、奏多の意思を無視するのが手を加えることか? それなら今までの約束なんか、くそ食らえだ!」
手を出してまで奏多を求める、その気持ちは分からなくもないんだ。俺だってやりたいさ。でもな、後々になり奏多が泣くのだけは見たくない。その思いだけで、俺は踏み止まっている。
「約束を反故にすれば、不味いのは巽ではないのかい?」
「……っ!
その時は奏多にどう思われようと素直に話す。邪な方法で奏多を手に入れるより、ずっとマシだ」
「……ふぅ。そこまで覚悟を決められると、不利なのは僕か。何事にも一途な巽が羨ましい。僕はもう後戻りは出来ないからね」
「……聖……」
聖は……聖はこの穏やかな表情で人を潰す。伊礼のためと聖は言うが、汚れ仕事を聖が受け持つお陰で、伊礼物産は順調以上に成長し続けているんだ。
潰すに男女など関係ない、例え女でも容赦ない手を使い、強制的にでも排除するのが聖のもう一つの仕事。
そう……男を咬ませ犬にし、社内に噂を流し伊礼から放り出す。そんなこともあった。
「望みをかけたことは、素直に謝るよ。僕も必死だった、それだけは覚えていて欲しい」
「二度とやらないか聖?」
「一度きり、最初からそう決めていた」

