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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第15章 社長息子と社長息子のバトル?

「それと、手続きと必要な家具を入れるのに三~四日はかかる。その間はホテルに居て貰おうかな?」
「やはり俺と同じ考えか」
「兄弟だからね」
「まあな。決まったんなら先に行くぞ」
「僕は着替えてから行くよ」

片手を上げて巽が部屋を出て行った後、僕も外出のために着替えだす。
和服は家の中でしか着ない。仕事ではないからとスラックスに軽めのニット、それに上着を持ち巽の後を追う。

客間に入って見れば、巽が彼女を説得中。どうやら僕たちが全てを用意することに、彼女のほうは不服そう。

「……だから気にすんなって」
「でも私の問題だから、自分でやりたいの」
「一人だったらすぐにとはいかないだろ。それに場所やセキュリティの関係もあるんだ」
「だけど……」

意外にも巽が手こずっているらしい。彼女も意思が固く、巽の言うことに頷こうとはしない。……これは外出中からやっていたかな?

「奏多。今は僕たちの言うことを聞いて欲しい。君になにかがあれば、僕たちが悲しむ、それを考慮に入れてくれないかな?」
「……聖さん」
「僕たちにとって、一番大事なのは奏多だよ。そんな君を一人投げ出すなんてことは僕には出来ない。あまり言うことを聞いてくれないと、奏多を僕の家に閉じ込めてしまおうか?」
「……え?」
「それくらい本気なのを理解して欲しいね。奏多が傷つき泣く姿など僕は見たくない」
「それは俺も同じだ」
「だから願いを聞いて……奏多」

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