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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第15章 社長息子と社長息子のバトル?

『人を説得する』。
これは性格上、巽より僕のほうが適任。比較的直線的に言う巽と、周りから責めていく僕の差とも言う。
「聖さん、巽さんに、これ以上迷惑をかけるのは、私が困ってしまいます」
「迷惑だとは一つも思っていないよ。僕の意思で奏多を助け、僕の意思でここに連れて来た。そしてこれからのことも僕の意思、それは曲げてあげられないね」
「俺の意思でもあるんだがな」
「そうだね、僕たち二人の意思なんだよ。だから奏多はなにも考えずに、僕たちの意思を受け入れて欲しい」
「…………」
うつむき考え込んでしまった奏多。心中はもの凄い葛藤だろう。多分に『僕たち』というのが引っかかっている原因なくらい、簡単に予想出来る。伊礼の社長息子が二人揃って、一人の女性に荷担することの重さ、それを奏多は十分以上に理解しているよう。
「…………奏多」
僕が優しく呼び掛けると、奏多は漸く顔を上げた。その瞳に決断した色を乗せて。
「分かり……ました。
聖さんと巽さんに従います。でも最低限の私物は取りに行かせて下さい」
「勿論だよ。だからこうして着替えているんだけどね?」
「……あ!」
「漸く決めてくれたか。
遅くならないうちに出るか巽?」
「僕も同じことを言う気だったよ」
「よろしくお願いします」
やっと納得してくれた奏多を連れて、僕と巽は別々の車に乗り、奏多の家に向かうことになった。一つ不服なのは、奏多は巽の車が気に入ったらしく、そちらに乗ったことくらいだね。

