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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第15章 社長息子と社長息子のバトル?

短大時代から住んでいた私の家、バイトしながら少し、また少しと居心地よくしたのに、まさかこんなことで離れるなんて思わなかった。聖さんと巽さんの話を了承したからには、もう嫌なんて言えない。二人の言う通りに別の場所で暮らすことになるんだろうね。

「……バイバイ、私の家」

後ろ髪を引かれながら、私は歩き出す。来る時は巽さんの車に乗ったから、帰りは聖さんの車に乗ってやれ。これが巽さんの言葉。そうだよね、聖さん少し意外そうな顔をしてたもの、こんな時は公平じゃないと駄目だよ。

……歩く私の姿を誰かが見ていたのを、私は知らない、知らなかった。



『コンコン』

「いいですか?」
「早かったね」
「本当に必要な物だけ持って来たから」
「そう。荷物は後ろに積むよ」
「はい」

聖さんの車を軽く叩いたら、聖さんが車から降りて来て、私から荷物を奪って後部座席のほうに積んでくれた。私はそのまま助手席に乗り、車は私の家から離れてゆく。

「一旦僕の家に行ってから、巽と一緒にホテルに行けばいい。巽も同じ方向だからね」
「巽さんって、どこに住んでいるんですか?」
「社近辺のマンションだよ。僕も巽と近い場所に、帰れない場合用のマンションを持っているね」
「てっきりあの場所から通勤してると……」
「流石に遠いし不便だから、マンションを持っているかな? 出来るだけ帰るようにはしているよ」

ちょっと意外、あの家でも仕事は出来るみたいだから、毎日帰っていると思ってた。私も考えが浅いなぁ。

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