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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

◇
「おはようございます」
今日も重役陣の中で社長が一番早く出勤。考えてみれば、社長ってどこから通っているのだろう?
(あまり考えても……。問題はこれからだし)
朝陽を始め、更衣室や控え室で、みんなにインフルの心配されたのは痛かったよ。嘘なのに心配してくれるのが……ね。
それに笑顔で応え制服に着替え。本当は首元の痣は極々薄くなったけど残ってはいる。ホテルから出る前に、少しファンデーションで隠したら、殆ど分からないまで消えたので漸く出勤する気になったくらいだもの。……バレないよね? お願いバレないで。
六日振りのエントランス、通る人は変わらない。でも変わったのは私、それに三科さん、後もう一つ。
そんな事を思っていたら来た……聖さんが。
「おはようございます」
朝陽と二人、いつものように挨拶したけれど、聖さんは躊躇いもなく私に近づいて来る。分かってはいるよ、事前に聞かされているから。
「……おはよう奏多。少し付き合って欲しいのだけどいいかな?」
「え……はい」
チラッと朝陽のほうを見てしまう私。いきなり聖さんが、私を名前呼びで付き合って欲しいなんて言うことに、どんな反応をされるか不安なの。でも朝陽は私を見てはいるものの、そこまで表情を変えることなく……うんん、冷静のような、冷たいような瞳で私を見ていると思う。……当たり前だよね、いきなりだもの。
「金森君、少しの間、彼女を借りていいかな?」
「も、勿論です伊礼課長」
「そう。ではついて来て奏多」
「分かりました」

