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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第5章 もう一人の社長息子
◇◇
目が覚めた時、一番始めに思ったのは『凄く綺麗な天井』ということ。
暫く魅入るように見つめていたけれど、漸くここが自分の家ではないことに思い当たり、冷や汗が流れる気分。
「ここ……どこ……?」
飲み会をやっていた店の天井でもなく、私は今全く知らない場所に居ることを知ったの!
(待って! 冷静に考えよう)
まずはダルい体を半身だけお越し、キョロキョロと周りを見回せば、大きなベッドに二人しか座れないソファーにテーブル、小さめのテレビ、それに扉が二つ。
あるのはそれくらい。
少ない人生経験で言えば、ホテルの一室が一番しっくりとくるとは思う。
……でもなぜ?
私はどうして、こんな場所に寝ていたんだろう。
朝陽の付き合いで飲み会に出て、なのに朝陽は帰ってしまい、離れてくれない三科さんに苛々してお酒を飲んで……。
「あぁ! 私!!」
やっと思い出した!
途中で御手洗いに抜け、戻ろうとしたら人にぶつかり、そのまま力が抜けて個室に寝かされたまでは覚えている。
聖様の身内の人。
たしか『巽』って呼ばれていた。
……それから先は?
「全然記憶にないよ……」
私、私、なにをやらかしたの!?
まさかと思い、自分の服を見てみたけど、上着は脱がされているけど後はそのまま。
だから無理矢理というのは頭から消した。
残る可能性はなに?
私は一人でホテルにたどり着いたのだろうか。
その辺りの記憶が丸っきり無いので不安を煽る。