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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

(どうして? もっと言われると思ったのに、朝陽が核心的なことを聞かないなんて……)
この手の話が大好きな朝陽だもの、絶対に根掘り葉掘り聞かれると思ってたのに、朝陽は冷やかすだけで、それ以上の話は無かったの。逆に私のほうが心配になる、朝陽に気を使われているんじゃないかと。
「……はい、B事業部ですね、お繋ぎしますので少々お待ち下さい」
「企画開発室ですね、お繋ぎしますので少々お待ち下さい」
受付が忙しい時間帯はいいよ、私も朝陽も対応で手一杯で、だから余計な話はしない。それでも余裕がある時間はやって来る。でもそれは私にとって恐怖の時間、朝陽のことより三科さんの問題。
「奏多、今日は何回かな?」
「…………」
「奏多?」
「……え?
あぁ、えーと後二回……かも」
あらかさまに声のトーンが落ちた私。『今日は何回』は三科さんが通る証。はっきり言って話すと思うだけでも嫌悪感が付きまとうくらい、三科さんには会いたくない。
「……三科さん嫌?」
「朝陽、急になに?」
「だってこの話をした途端、奏多凄く暗い顔をしたから」
「うん……話すのも嫌」
「そこまでかー。
よしよし、じゃ来たら私が蹴散らしてやるぅー!」
「……へ?」
「奏多が嫌いだったら私も嫌い、だから蹴散らすの」
「朝陽、でも……」
「『でも』はなーし。それ、奏多の口癖だよね?」
「そう? 私そんなに言ってる?」
「あー、自分で分かっていないタイプなんだ。一日何回言ってると思う? 耳にタコが出来るくらい言ってるんだよ」

