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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

「そんなに!?」
「そう。ほら気づいてないわ」

うそぉー!?
私自身は、それはまあ言ってるなと思う時はあるけれど、口癖と言われるまでとは思っていなかったのよ。だけど耳にタコはないでしょう朝陽、その言われ方はへこむわ。

「あ、噂をすれば……だわ」
「っっ……!」

つい受付の中で後ずさりをしてしまう私。顔を見るのも嫌なのに、受付に近づいて来るものだから、自然に拒否反応が出る。近くに来ないで欲しい。
そう思っていたら、朝陽が私の前に立ち塞がったの。

「あれ? 俺は夏目さんにようがあるんだけどな」
「奏多だったらこれから午後休憩よ」
「丁度よかった、夏目さん話があるんだけど」
「…………」

私は一言も話さない、いや話したくない。朝陽は更に私をかばうように、三科さんと私の中間に割って入って来た。

「行く場所は女子更衣室なんだけど? なに、ストーカーでもすんの?」
「いやだな、話すなら別の場所でもいいと思わない?」
「奏多は女子更衣室に行くと言っているの! それでも話す気だったら更衣室に行く? もしやる気だったらここで大声を上げるわ、『営業の三科は女子更衣室を覗く変態です』ってね。さぁ、どうなのよ?」
「……ちっ、面倒くさい女」

朝陽を睨んで吐き捨てるようなセリフを残し、三科さんは受付から立ち去って行ったよ。それにしても、朝陽にこんな一面があったなんて……。怒った朝陽は、私なんかより余程強い。私だけなの弱いのは?

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